里山資本主義

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日本において今後メジャーになってくるであろう生き方について。

これが通用するなら、たまにリモートでプログラマやれば衣食住は困らなくなるかも。

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)

里山資本主義・・・既存の資本主義における組織や価値観を捨てて、田舎を中心とした新しい価値観で生きていくこと。

既存の資本主義モデルにだけ頼っているのは苦しくなってきた、とした上で、一個人としてこんな生き方もできる、という提案をしている。

そもそもの問題点

先進国、特に日本の抱える問題点と言われるものを挙げる。

国際社会における衰退

一時期GDP世界二位だったが、中国に抜かれ他の先進国からもどんどん抜かれつつある。

回復のきざしはまだまだ見えてこない。

個人としての消耗

日本は自殺者がとても多い。

よくメディアやエンタメなどで取り上げられるサラリーマンなどを見ても、嫌な仕事を仕方なくしているような印象は拭えない。

その結果生活はなんとかなったとして、何のために生きてるかわからなくなってくるかもしれない。

高齢化社会

人口ピラミッドはどんどん歪み、高齢者の割合が増えてきた。 それに伴い、年金制度なども崩壊しつつある。

エネルギー問題

先の原発事故で、今後原子力に頼るのは難しくなってきた。

そして、今はその分を化石燃料に頼っているが、恒久的に取れるものではなく持続性に欠けることと、 それに伴い燃料の価格が高騰していくことが問題となっている。

では自然エネルギーか、ということでバイオマスや太陽発電が盛り上がっているものの、既存の仕組みを賄うには現状のテクノロジーでは規模・安定性が足りない。

 

 

以下のように、資本主義が浸透したからこそその限界や欠点が見えてきた。 それをひっくり返すのではなく、補完する役割として、無理の緩和としての案を提示する。

(個人としての)解決策

※これはあくまで個人にとっての生き残り案であって、国家については触れない。

資本主義と里山資本主義(需給の柔軟な調整・評価経済)のハイブリッドを目指す。

肝は、

  • セーフティネットを多く用意すること。
  • どこにも依存しすぎないこと。
  • お金ではない経済(人と物の繋がり)を持っておくこと。

例えば、田舎に住んで生活費のかからない暮らしをしつつ、旅行者などへ地域の名産を活かしたサービスを提供するとか、 都会に住んでいても、田舎に第二の住居を確保しておいたりちょっとした家庭菜園をしてみたり。

都会の嗜好品を望まなければ、生活していくのにはそんなに困らないのかもしれない。

グローバル資本主義や化石燃料はがっつり依存すると怖いことは原発事故や経済危機で身にしみている。

お金をかけなくても生きていけるようになれば仕事の定義が変わる。

資本主義に頼る部分

既存の仕組みで、世の中として一番上手く回っているとされる仕組みなので生活のベース(衣食住の確保)として維持しておく。

これは、田舎に住めばかかる費用はかなり減らせる。(その代わり文化的生活のレベルも下がるし、田舎でも稼げるスキルがないと厳しい)

あまり資本主義に傾倒し過ぎると自分の時間が取れなくなるのと、精神的に疲弊していくのでほどほどにしておく。

里山資本主義に頼る部分

里山資本主義≒評価経済

精神的な満足はお金で計りにくい。 ちょっとした親切で世の中が回るなら最高。岡田斗司夫の評価経済のように。

ただ持続性という点で難しいので、プラスアルファとして徐々に増やしていく。 すべてを親切に委ねるのはむしろ危険かもしれない。

国に頼るべき部分

警察や治療、天災、貿易は国に頼ればいい。それ以外は好きにすればいい。

無理に中央(あるいはグローバル)の経済に合わせようとすると、規模の経済で負ける。かといって連結を密にして規模を上げると、仕事が無機質になったり先日のリーマン・ショックのような影響がダイレクトに来る。 そうまでして手に入れたいものなのかどうかは考える必要がある。

デメリット

田舎に住む、という選択肢を設けることで、既存の資本主義の不完全さを緩和する仕組みを提案した。

ただし、田舎の良い面ばかり取り上げているが欠点にも目を向けるべき。

病院やレジャー施設、コンビニ等はあっても数十キロは離れているものらしい。

虫も多いし、衛生面も良くないだろう。 街全体で伝染病が流行ったり天災が来たら都会よりもダメージは大きいのではないか。

釜で炊いたご飯は旨いというが、すごく手間がかかるし失敗することもある。

今田舎に住んでいて東京に出てくる人たちが、なぜ出てくるのか、限界集落などはどう限界なのか、を知らないと、行ったところで相互協力どころではないかもしれない。

筆者の見解(里山資本主義のメリット)

里山資本主義を取り入れることで、日本の問題はなんとかなると主張している。

日本は衰退しているのか?

金融市場から独立した仕組み。

内部留保を活かせる市場、投資先がないのが問題になっている。

高齢化社会は衰退の道になるのか

筆者はそうとは限らないと主張する。

健康寿命が伸び、実質的な定年が先延ばしになる。 そもそも健康だから長生きしやすいとも言える。

むしろ田舎でやることが多いほうが健康度合いは高まる。

高齢者は色々な知見を持っている。 それらを活用する仕組みさえできればむしろ有力な労働力・市民になる。

例えば教育や農業のノウハウなど。

国の政策で議論すべきか

Amazonの批判であがっているのは、 「こんなのは国家レベルで語れることではない」という主張。

それはもっともで、この本はそこまでは言っていないと思う。 あくまで個人に対して、現状の国家政策に対しての疑問を呈しているだけで、 それに里山資本主義を組み合わせれば十分という話。

最先端技術との融合

小口の電力を最適に配置するシステム 需要を調整(時間をずらす、量を減らす)システム。

これらを活用すれば、自然エネルギーでも生活するのには十分になりうる。

エネルギー問題

核や化石燃料は持続性に乏しい。燃料の量・廃棄物の管理ともに。

しかし現状の資本主義を維持するにはそれらは不可欠になってしまっている。 ならば資本主義の方を変えよう。

目的は豊かに暮らすことだ。 お金や資本守護はその手段に過ぎない。 おしゃれしたいとか、検量が欲しい人は都会や海外で頑張ればいい。 そうでなく楽しく暮らしたいなら田舎もありかも。

お金を少しだけ稼ぎながら必要な物資(食料・燃料・本など)を買いさえすればあとは自由に暮らせばいい。

移行するには?

徐々に移していく。 ベースは資本主義で支えつつ、余裕のある範囲で試してみる、 それがうまく言ったら少しづつ比重を上げていく。

何処かのタイミングで田舎に移住してもいいかもしれない。

まちづくりなどという大層なものからではなく、自分が住みやすいようにアレンジしていって、その様子を広めていければいい

努力をして維持させるのではなくて、やりたいようにやるだけ。

一歩踏み出すのに躊躇する際に、個々の地域の詳細を見れるようなものがあればいいかも。 各地でアピールの一環として広報などはやっているはず。というよりやったほうが楽しい。

それらのまとめサイトができればイメージがしやすくなるし気軽に参加できるようになるかも。 他の地域の知見も集約することができるかも。 このロールモデルを輸出していく動きも進んでいるらしい。

地域で自産自消するようになれば内部で独立した経済になる。 ローカルの通貨を持っておく、あるいは評価経済にしてしまえばセーフティネットとして機能するように和る

感想

楽しいことだけ仕事にするモデルの究極がコレ。

周りの役に立ちたいから農業を営み、様々なサービス・食べ物を提供する。 衣食住に困らなければそれも成立する。

ただ、前に書いたように、それには食うのには困らない土台が必須。今の田舎がそうかというと多分違うのではと思う。 ほっとけば食にありつけないから出稼ぎにいくのだろう。

年間150万円くらいあれば生きていけるかもしれないが、それをコンスタントに稼げるかも心配ではある。

 

話は変わるが、世の中がよくない方向に進んでるとしたら、変える方法は二つあると思う。

一つは内部から変える。 もう一つは外部から変える。

内部から

ジョジョでは5部でギャングスターになる話があったが、そこでは腐敗した組織を内部から変える目的があった。 政治や官僚の世界、あるいは銀行やメディア、警察や起業家など、のし上がりたい人もこれに近い目的を持っているのだろう。

ただ、その際に難しいのは、軸をブラさないこと。

マンガの世界にはわかりやすい悪がいるが、現実は白黒つけ難いことばかりだと思う。

その際に小善を捨てて大善を取るのか、全体最適か自分自身の満足かの判断が非常に難しいと思う。

よくあるのが、上に上がるために好まないことをして精神的にまいっていく話。 食品偽装の現場のように、知っていて黙っている例もあるでしょうし、 半沢直樹みたいに、上からしたらむしろ邪魔な存在で飛ばされてしまう恐れもありますし。

(ただ、オーストリアでは国全体として原子力を捨てバイオマスなどの持続可能エネルギーに取り組んでいる様子。)

外部から変える。

鎖国していた頃に黒船が来たように、出版の世界にAmazonが襲来したように外から変える。 あるいは自分が既存の枠から出て好きに生き、その魅力を発信していくこと。

こちらはインパクトはないかもしれないが現実的で取っ付きやすい。 この本ではその後者のことを話しているように見える。

 

以上から、外部から地道に変えていくこの案は個人的にはとても期待しています。

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