貧困の現場

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過去記事です。

貧困の現場

先日投稿した(書いたのは去年ですが)貧困大国アメリカとかぶる内容です。今回は日本の貧困について (2008年に書かれたものです、と一応。)

日本とアメリカの比較

貧困大国アメリカのルポも2008年だったので、同時期とみなして比較します。

ぶっちゃけ、日本の方はアメリカの貧困層と比べるとまだ甘いように思います。無効はカーストとまで行かなくても生まれた地域や親の経済力で既に大きすぎる差がついており、給食はジャンクフード、ご飯は薬品ガッツリのパン、働いても時給5ドルだし、契約社会なので、一度騙されると骨の髄までしゃぶられる。さらには軍の過酷な労働とイジメが待っていて、精神的に病んでも国民皆保険制度などもない。医者も信用ならない。

対して日本では、職を選ばなければ食べていけます。怪我をしても生活保護でなんとかなるでしょう。加えて、親が安定した職を持っていたりするケースも多そうです(感覚値ですが。。。)

あと、これは作者の書き方の問題なのですが、アメリカの方は淡々と事実を書き連ねていたのに対して、貧困の現場は「悪いのは全て雇用主だ」「僕らは被害者だ、同情してくれ」と感情に訴えているように感じました。

日本特有の問題

労働者側

ではなぜ、日本でワーキングプアが問題になるのか。これは日本人の国民性というか考え方に依るものだと思います。一言で言えば、無駄にマジメすぎ

学校で習うのか知りませんが、マジメにこつこつと生きていたら誰かが助けてくれるとでも思っているんでしょうか?生命の危機になっても仕事の方が大事って本気で思ってるんでしょうか?親や生活保護の助けを受けるのが死ぬよりみっともないことなんでしょうか?自分の生活もままならないのに、「自分が休んだら他の人が困るから」と無休でも働けるんでしょうか?

「美徳」「清廉さ」と言えば聞こえはいいですが、だったらグチったり同情してもらおうとするなよ。被害者ぶるなよ。

・・・いや、別に本書に出てくる人たちを貶したいわけでも馬鹿にしてるわけでもなくて、なんでそんな思想になったのかという話です。 学校教育のせいでしょうか? 親・社会の価値観の押し付けのせいでしょうか? 国外の情報が入ってこないからでしょうか?

全部あると思いますが、それがなんか中途半端で、目的なく方法論だけ身につけているような感じなんですよね。「真面目で純粋」大いに結構です。「プライドのためなら死ねる!」というのも思想としては否定はしません。ただ、グチを言ったり精神を病むのは、どこか無理してるんだろうと。徹しきれていないんだろうなと。

作中にあった、 > 人柄がいいほどボロボロになって辞めるのよ。

の言葉に代表されるように、「ムダに真面目」なのが原因ではと思っています。

雇用者側

また、雇う側もモラルが低下しているようです。 どこぞのワ○ミやUNI○LOなどが幅を聞かせている社会ですから。それで儲かるなら真似したくなるのもわかります。実際、どこの国でも人件費を買い叩けるならそうするんでしょう。

ここで日本特有の問題なのは、契約がなし崩しになることです。アメリカなどは訴訟社会なので契約はかっちりしていますし、破るとエライ言われます。一方の日本は、サービス残業に代表される「言わないけどよろしくやる文化」が横行しています。正社員の期待を抱かせたまま、暗に時間オーバーでも働くよう示唆して安い労働力を得る。大企業でも当たり前にサービス残業しているおかげで、「そういうもんなんだ」と思ってるんでしょうきっと。

(アルバイトに月給制で30万とか払って、代わりに毎日18時間労働させるなんて荒業もあります。年棒制の某企業とかもそうなんじゃないでしょうか?)

本書には書いてませんでしたが、「訴えますよ」とか言っても、恐喝されるか泣き落としされて気力を奪ってくるんでしょうよきっと。

オマケ

なんでこんな本を読んでるのかって? そりゃ、ワーキングプアなんてなくしたいし、困っている人には力になりたいじゃないですか。僕にとってそれは情報を与えて気付いてもらうことなんです。まずは自分が知らなくては何もできないですから。

蛇足ですが、「三匹のおっさん」というドラマが昔ながらの勧善懲悪ものですごく僕好みです。

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