思考停止ワード44

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過去記事です。

ビジネスを蝕む 思考停止ワード44 (アスキー新書)

イノベーションやグローバル人材など、巷で流行っている様々なビジネスワードがある。 適切に意味を理解した上で使えていれば便利な言葉なのだが、流行っている分どうにも人によって受け取り方が違ったり、表層的にしか使えていないことがある。

本書ではそれらを総じて思考停止ワードと呼んでいる。

それらは何のために必要なのか?

技術力・イノベーション・コンプライアンス。 いずれも良く聞かれる言葉だが、言葉だけを追いかけている例が多いらしい。 それらは何のために必要なのか、どうなればいいのか、これらをはっきり言葉にできる上で使えているのだろうか?

頻繁に使われうる単語というのは得てして手段・体系化されたものであることが多く、個々で抱いている目的とは違う。技術力があったほうがいいのは全てそうだが、どんな技術がほしいのか、優先順位は何なのか、ソレに対してどこまで投資ができるか、などを考えた上で使わないと意味がない。

ドラッカー曰く、 > イノベーションとは新しい満足を生み出すことである。

革新的なアイデアをもたらすこと自体ではなく、顧客に何か満足を与えるための手段である。

普段話しているそれらの単語・手段は、「何を目的にしているのか」。法人でも個人でも同じで、自分でゴールや目的を持てないと薄っぺらくなってしまう。

これまでの常識は今の非常識に、今の非常識は未来の常識に

がんばれ・現実的・一般論では〜。

それらは、これまでの高度経済成長期には便利な言葉だったのかもしれない。 当時は諸外国に追い付くことが目標なのでゴールは見えている。あとはそこへ向けてひたすらに努力すればよかった。ならノルマを課して頑張ればいい、現実的な方向に従っていけばいい、空気を読んで仲良くすればいい。

ところが、現在は表面的には世界に追いついてしまった。ここからどう進歩していけばいいのかについては、前例・ゴールがなくなってしまった。

例えばダイソン。 吸引力の技術もコンプライアンスも価格も、日本の方が優れているようにみえる。しかしダイソンはすごく売れている。これに対して、さらに安く・技術を上げてるように「がんばって」みても無駄なのでは?

もっと悪いことに、頑張る・ノルマなどという精神的な縛りの多い環境では、発想が狭まってくるという話も。

勘は非合理なのか?効率化は有効なのか?

ロジックをしっかりさせる。」「うまくいく根拠を伝える。」 プレゼンの鉄則と言われるテクニックだが、これらは本当に正しいのか? 言葉にできないから非合理とは限らない。むしろ、合理的に説明ができたり前例があるものというのは誰でもそのアイデアに辿り着ける。つまりは競争が激しくなる。もしくは既に古いアイデアになっている。

効率化については、それに対して労力を割くということが本当に有効かという話になる。車の時代に馬車のコストを下げてみたところで、スマホの時代にiモードの使い勝手を良くしたところで、本質的にズレていたら何の意味もない。加えて、効率化を叫ぶと総じて手段が目的化しがちだろう。

単純作業でなく何かしらクリエイティブな仕事をしたのであれば、使う単語の意味をはっきりと理解した上で、目的を明確に持つこと、精神的な縛りを減らし、自分らしく主体的であること、が求められるのかもしれません。

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