南極点のピアピア動画

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南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)

尻Pこと野尻さんの本業らしいです。なんか、ハンターハンターの富樫なみに仕事しないとかなんとか^^; このピアピア動画というのの元はニコニコ動画で、ニコ厨が妄想する「こんな世界になるといいな」というSF本です。

Summary

ただの小説でしたが、おっさん世代までネットが浸透した世界で、登場人物みんな善人のお話です。みんなが考えていったら楽しそうだなと。

合理性とかお金のためとか、そういった損得でなくて感覚のままに楽しい方向へ動いている感じと、ネットを駆使した民主主義の世界。

動画サイトには投げ銭機能がついていて、ユーザーが応援したい人に寄付できる。また、サイトで応援を呼びかけたら何人も「楽しそうだから」という理由で、無償で手伝ってくれる。未知の宇宙人が、かなりインターネットと親和性が高くて協力的である。

なんで現実はこうなってないのか?

なかなか夢のある話で楽しめましたが、あえて逆の視点から考えてみます。

単純に、性善説に依りすぎだと思うからです。

  • ネットで声を掛けると信頼性が不安人は集まるだろう。が、信頼が問題です。権限を与えるということは責任が生じることです。ディスコミュニケーションも増えるかも。

  • プライバシーの観念も人によって異なるから、楽しければいいじゃないなんて一概に言えない。その共通解を出すのは非常に難しい。

  • 動画サイトも、完全に放置してしまうとアンチが騒いで治安が悪くなるんだろうし、手を加えすぎると自由さが失われてしまう。 ・投げ銭機能も、それによって批判される人が増えたり、上手いこと換金するシステムができて運営にお金が回らなくなってサービス自体なくなったりする可能性もあって。

でも、希望もあって、 ハードウェアもオープンソース化できたら人間が神に近づける。事故増殖する機械(もはや生物)を生み出せる。

  • お金儲け、徹底した合理的思考は体系化できてしまうので、いずれ機械に変わられるかも。
  • 役に立たないこと、無駄なことに対して全力で取り組めば人間は幸せになれるかも。
  • お金でなくてたのしさが一番の時代になればハッピーになれるのでは。

人間は元来、非論理的な生き物だと思い直した作品でした。

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