「アラブの春」の正体 欧米とメディアに踊らされた民主化革命

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ようやく土日返上のイロイロが片付いて自分の時間が持てるようになってきたので、前から積んでたコレを読みました。

「アラブの春」の正体 欧米とメディアに踊らされた民主化革命 (角川oneテーマ21)

色んな国を箇条書きにしてまとめてみます。

アラブ全体

多様な人々が共存してるから政教分離 イスラム教の中にはザカート(喜捨)という文化があり社会主義的。ただ、共産主義とは違うんだよ アラブではリーダーが変わるより、強いリーダーが君臨した方が社会が安定するとの思想を持っている。→なので腐敗が起こりやすいのはある種当然 有名なアルジャジーラはカタール政府の支援で成り立っていて、目的はは小国の存在アピールだった。決して公正なメディアではない。

チュニジア

アラブの春の発端の国 リベラルな若者が革命を始めたが、イスラム原理主義が横から政権を奪ってしまった。彼らは組織化しているから政治に関心がなくても投票する。 政府を倒すまではリーダーはいらない。目的があるから。それ以降は共通な指標が別に必要なため、リーダーが求められる。

エジプト

革命後も、実質は軍が支配したまま アメリカも反米になると困るので裏からコントロールしていた。 政府の不正を正す、ことは共通していたがその後のビジョンがなかった。

リビア

カダフィはもともとそこまで腐敗していなく、国際的なイメージも良かった 彼は政治的にメディアに嵌められた。 アメリカに嫌われ、アラブ諸国に失望したためアフリカと仲良くした。 そしてアフリカの外交交渉力を上げるためアフリカ合衆国を作ろうとしていたため、交渉で損をする側の欧米から嫌われた。 結果、メディアで偏向報道が溢れた。 アルジャジーラも偏向して、カダフィに不利になるような不確定な情報を流し、欧米メディアが鵜呑みにして拡散した。

バーレーン

多数派のシーア派が、少数派のスンニ派に搾取されていたところから暴動が起きている。

イラン

シーア派代表として欧米と対立する保守派のイメージだが、意外とスンニ派よりリベラルなことが多い。

イエメン

かなり貧しい国として、反乱が起きた。アルカイダの活動拠点でもあるので、特に秩序回復が求められていた。 が、資源も乏しく経済再興の見込みがないからしばらくは情勢不安っぽい

サウジアラビア

アラブの衛星や広告の大半を牛耳っているため、メディアも批判できない国 スンニ派が王家や多数派を占め、シーア派が反抗したが、ほとんど報道されず。 国民も、多数派は政府の腐敗に目をつぶり裕福な生活を謳歌している。 他にも差別があったりするが、人権団体も欧米や王家には強く言えず黙認されている。

カタール

小国だが一人当たりの生活水準がトップレベルの国と言われている。 アルジャジーラを作った国 そのため政府の批判は報道されない。

オマーン

サウジアラビアの経済的援助もあり、初期の段階で王家が改革を約束したため、あまり激しくならなかったため報道はほとんどされなかった。

ヨルダン モロッコ

オマーンと似た状態

イラク

アメリカとの戦争以降、宗派の意識が強くなってしまった。また、報道に関してはアメリカ側の規制が大きい。「アメリカが作った政治システムに問題がある」と思われたら嫌だから。 だが、イラクとしてはアメリカのコントロールを離れた民主主義に傾いていて、アメリカの戦争が無駄になりかけている。 女性進出も盛んで実はリベラルな国だったりするが、そういった部分は報道されない。

シリア

バアス党が治める。政教分離が掲げられているが、メディアでは対立を煽るような報道が多い。 元々は小規模の反乱だったのが、メディアに取り上げられ、アサド政権が悪者扱いされ、支援と称して反対勢力へ武器が密輸入されていくという大事に。 アメリカにとっても、イランやロシア側のアサド政権を叩くことは有効である。 シリアに関しては、今やネットは反体制側でなく、もっと別の力のある組織が裏で情報操作したり(プロパガンダ)、個人情報を集めるために使われている。

まとめ

全体として、国によってうまく行った所があればそうでないところもあるという状況です。特にうまくいっていない場合は、国民それぞれに政権を打倒した後のビジョンや覚悟がなかったことが要因な気もしています。ただ不満だけから行動することはモチロン初期には必要ですが、その後の計画も考えておかなければいけないです。

あと、イスラム教はちょっと抵抗感がありましたが、読んでいると普通の人達のようで、今の僕らのイメージは一部の過激なイスラム原理主義の人たちのことを聞かされているに過ぎないかもしれません。宗派などを気にせず付き合っていくことが出来ればいいですね。

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