キュレーション1:広告業界

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休みの間に色んな記事や本を読みました。 それらをまとめようと思っていたら、多岐に渡り過ぎて軽い小論文っぽくなったので、それぞれ整理して5つのパートに分けてお届けしたいと思います。

各パートを繋ぐキーワードはキュレーションです。 キュレーションの意味については、ここでは情報を収集して編集する能力のことを指します。 詳しくはググる感じで。 http://kotobank.jp/word/%E3%82%AD%E3 %83%A5%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

僕の興味のある各分野について述べて、自分が何をしたいのかを多角的に分析してみることが目的です。 ちなみにこういった書き物にありがちなんですが、テーマを持って一貫性を意識するあまり色んな事柄をムリヤリ関連付けてしまうケースがあります。当人としては筋が通っていると思って書いてますが、こじつけな部分があったら適宜修正したりしながら読んでください。

今回は一回目として、広告業界について簡単にですがまとめてみます。 参考文献 ロリー・サザーランド:広告マンの人生の教訓 http://www.ted.com/talks/lang/ja/rory_sutherland_life_lessons_from_an_ad_man.html

現代は無形資産の時代と言われています。社会にモノや食べ物が溢れるようになり、人は物質的な豊かさから精神的な豊かさへ移行していきます。物質的な豊かさが一定水準に達したら、生きる上で困ることはなくなり、あとは人々の認識の問題だからです。

例えば、電車の旅を10分縮めるために大規模改修するよりも、そのお金で快適なオプションを提供する方が利用者の満足度が高まるかもしれません(その他の例は動画を参照ください。)

認識の問題となった世界では、無機質な義務付けよりも、感覚に訴えるような説得が有効というデータもあります。大衆意識や無意識に訴えるには理性より感性が重要になってくるというわけです。 例は動画を見てもらうとして、ファスト&スローのファストの部分に語りかけることで、人々の潜在意識が変わってくるからです。

また、動機付けや行動までの完結さ、決定までの要素数が重要になってきます。 人は目的とする事柄の達成に必要な行動量や思考の量が少ないほど、決定を行いやすくなります。(これについては『選択の科学』という本に詳しく載っています。)

本当は理性(『スロー』)で納得していれば一番いいのですが、日々の行動にいちいち理由をつけて合理的に動くことは、一般の人にはできません。そこで登場するのがキュレーションです。

広告は、あらゆる製品の情報やその時の心情を考慮して、必要なときに必要最小限の情報のみ与えることで、決定までのプロセスを簡略化してくれます。 この必要最小限にまとめ上げて、視聴者が理解しやすい形に咀嚼してあげるのが広告の役割です。

また、これは決して広告に限った話ではなく、この無形資産という考えはあらゆることの基盤になります。 最初の方で書いた電車の例にあるように、物質的に満たされている現代では精神的な欲求が求められます。 そして、精神的な欲求は全て主観に基づく相対的なものであり、その主観は外的要因(広告など)によって容易に変化していくのです。

この動画は最後にこう締めくくります。(青字は上記動画からの引用) 「新しいモノを身近にし、身近なものを新しくすること。これが我々広告マンの新しいキャッチコピーだ。」 既存のものに新しい価値を与えることも、新しいことと親しみやすさを繋げることも、どちらもキュレーションです。広告は、今あるものと価値とを繋げるという、無形なものに価値を与える仕事と言えます。

オマケ こういった無形資産の創造はネットでできるでしょうか? 以前、こういった記事を読みました。 ネット広告代理店の人々が“普通”の広告費を理解できない理由

ネット広告の目的はコンバージョンを上げることであって、価値観を醸成することではない、というのが一般的です。対してマス広告は効果こそ明確に測れないものの、価値観の醸成という面では一役買っています。 理性向けのネット広告、感性向けのマス広告、ということで両者の共存する余地はあります。 (スマホ業界がマス広告に重点を置くのは、感性に訴えたいからです。)

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