フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

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フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

今年に入ってから、本ばかり読んでます。 化物語や技術書やePubとか入れたら、2日で1冊くらい読んでるでしょうか。

春休みはプログラミングとかネット界隈の勉強に費やします。 IT企業に入るのに、自分が無知過ぎるので^^;

今日は、巷で話題?のフリーの本です。

ちょっとマジメに書いてきます。

フリーの必然性

ビットとアトムは全く異なるモデルである。

需要と供給の関係で、供給量が膨大なものは価値が下がっていきます。 で、ネットにおいては複製が容易、 かつストレージも毎年どんどん値段が下がっていくので、 理論的には無限に複製できます。

つまり、供給が無限に収束し、 需要が追いつかないため、必然的に価格は0に収束します。 0円以上にしたところで、誰かが0円でマネしたら終わるので、 価格競争の末0円に落ち着くわけです。 (そのうち、お金をもらえるコンテンツも出るかもしれませんね^^;)

このモデルだと、資金のあるところが勝つことになります。 例えばYouTube。 もとはベンチャー企業ですが、グーグルに買収されましたよね。 理由はカンタンで、単体では資金が足りなかったから。

0円に近似するといっても、実際にハードウェアはお金がかかります。 メモリや通信技術の研究開発がものすごい速度なため、 いずれは0円に近似するのですが、あと数年はかかります。 それまで耐える資金力が必要なんです。

(実際、Youtubeは未だにずっと赤字です。ただ、最近は、広告収益で運営費を賄えるくらいまできてるらしいです。これは、運営にかかるコストが減っていくからです。)

フリーの可能性

じゃぁ、大きくないところは儲からなくて損しちゃうじゃん! という話かと思いきや、そんなことはないと書いてます。

理由は、膨大なのが安いんだから、稀少なのは高価だということ。 大きくないところは何が必要かって、何より知名度が必要です。 わざわざ有料で狭い範囲に届けるより、 無料コピー上等でみんなに知ってもらうことが重要なんです。

例を挙げましょう。

インディーズのバンドがいたとして、 彼らのアルバムを3000円で売ったら、1000人に売れるとします。 次に売るときは、ちょっと認知度が上がって2000人とかだとします。

だけど、ネット上でバラまいたら、視聴者は、その数百倍はいくでしょう。 曲によっては、YouTubeとかで100万回とか再生されます。 そこでバンドを気に入ってもらう、認知してもらったあとに 二枚目を売れば、10000枚とかが狙えるわけですよ。 さらにCDだけでなくて、ライブとかにも人が増えることでしょう。

売れてないうちは、定価で売って数万円稼ぐより、 フリーの波に乗せて、勝手に広まってくれるのを待った方が有効だったりします。

もう一つは、情報(ビット)以外を売る方法 フリーにできるようになったので、ビット自体には価値がなくなりました。 代わりに、今まで以上に時間や経験、ストーリーが稀少とされています。 先ほどのライブの例のように、情報として得られないものにみんなが お金を払うようになったのです。

そう考えたら、AKBが売れるのも分かりますね。 曲自体の価値なんて、実力派バンドもAKBの歌も等しく0円なんですから。

心理学の観点

これらのように、単純な損得モデルで把握できなくなってきたのが フリーの経済学です。 ここでは、データとか経済学よりも、心理学が重宝される気がします。

返報性

→人は、何かを与えてもらうと、それに報いたくなるという真理が働きます。普段立ち読みばっかりしてるコンビニでは、たまには買ってやるか、とか思ったりします。

値段を下げるほど需要が上がるのは間違い

→既存の需要と供給曲線では、価格が減るほど需要は増えます。たしかにその通りなのですが、フリーの概念が広まってからは違います。『有料』ということは、値段に関わらず、「その代金より価値のあるものだろうか?」ということを考えます。逆にフリーであれば、そんなことは気にせず消費します。需要の差は、100円か1000円かにあるのではなく、0円か1円かの間に存在することになります。

価値は相対的なものである。

→今まで有料だった商品が無料になると、人は、質が下がったと感じます。 一方、最初から無料のものは、価値がないとは思わないのです。このメカニズムは商品自体の価値で判断するものではなく、以前との差で決まる相対的なものです。 だから、情報を提供するときは、いずれ0円になるのだから、 始めから0円にした方がブランド的にも正解なのです。

データが存在しない世界へ

これまで、フリーの世界でビジネスをするときの考え方を書きましたが、 難しいのは、コレをすればうまくいく、といったモデルが存在しないことです。

例えば、文中であった例で、 redioheadが、曲の値段をユーザーが決めていい、という売り方をしました。 ユーザーそれぞれが、0円はもちろん、1000円でもそれ以上でも、 自分でお金を払って曲を買うのです。

結果として、このキャンペーンは、無料含め300万枚売れて、 収益も今まで以上の大成功だったようです。

じゃぁ毎回コレやれば良いじゃん、と思っても、 こんなのもう一度やられたらドン引きですよね。 まず失敗するでしょう。 人の誠意・返報性でうまくいったものなので、 再度やるとその魂胆が見え見えでいやらしいからです。

つまり、過去の成功モデルは一切使えないんです。 この世界で勝ち残るために必要なのは、 トップダウンの組織と、リーダーの奉仕の精神だと思います。

何かキャンペーンをするときに、上にお伺いを立てる組織だと、 上手く行く保証、データを見せろと言われ撃沈します。 かといって、トップが決めるにも、儲けようとか考えてやると、 たいてい見透かされて撃沈します。

モノ単体で売っていた時代は、損得の判断がしやすかった。 この値段で仕入れてこの値段で何個売ったらいくらになるかがわかるから。

フリーの世界では、フリーで配って、別で儲ける形になってしまうので、 把握するには変数が多すぎて複雑すぎます。

なんか上手く行っても、フリーで配ったのが どのくらい貢献してるかが分かりません。

最後に

フリーは、経済に信頼という軸を生み出しました。

この時代のビジネスモデルとしては (もはやモデル、と体系づけられないですが)

コンテンツ単体で儲けようとしないこと 価値の物差しが金銭しかないのはダメ。 名声、その後の長期的な仕事量で成功かどうかを判断する。 損得などの客観データではなく、感情に訴える。 稀少なもの(経験・時間・人脈)を収益化する。

といったところです。 ここまで書いて、日本に合ってるモデルなのでは? と思いました。 資本主義の原理は海外から輸入してきたものですが、 それまでの日本人は割と信用で取引してきました。 損得だけでなく、プライドが命より大事な時代もありました。 (切腹って文化も、「生き恥を晒すくらいなら」という美意識です。)

損得でない昔ながらの付き合いとかって文化は今も生きてます。 政治家に二世が多いのは、まだ実力主義って文化よりも、 信用・お家柄で判断する文化が残ってる証拠です。

おまけ

単語メモ

150人くらいがダンバー数

フリーミアム 一部の人へPro版を 直接内部市場 何かがタダで他は有料 第三者 広告モデル 非貨幣市場 無償労働 CGM 検索エンジン

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