まねきTV

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今回は、メディア・ITの世界での法律関係の話です。 二連続で投下する予定です。

まずは「まねきTV事件」について

以前、Twitterで「まねきTVの高裁判決がでた」 ってツイートしたんですが、よく調べると、 一度、知財高裁では適法って判決が出てて、最高裁で違法判決が出たので もういちど高裁に差し戻していた案件みたいですね。 その判決が、今年の1月末にでて、違法判決がでました。 もう一度上告しない限り「著作権侵害」で終わってしまうのですが、 まぁ上告したってムリっぽいかなぁ

詳しく調べてみたのでわかりやすくお伝えしたいと思います。

※ちなみに、情報の信ぴょう性については検証してないです。 が、色んなサイト回って見ているので大方間違いはないはずです。

まず、「まねきTV」の仕組みについて

まねきTVは「永野商店」が運営するサービス。 ロケフリ用ベースステーションを個人ユーザーから預かり、 設定済みの端末を使って海外でも番組を視聴できるようにしている。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1101/19/news076.html

簡単にまとめると、 運営会社がロケフリ(ロケーションフリー)機器を使って、 親機が運営会社・子機をサービス利用者が持つことによって サービス利用者個々人にテレビ放送を送信し、どこでも視聴できるようにするサービス

問題となる点

「あらかじめ設定した端末との1対1の送受信だけが可能」 なサービスというところで、これが、日本の法律で著作権侵害に当たる 「自動公衆送信」に該当するかどうか ということのようです。

ちなみに現在までの経緯を振り返ると

2006年2月、NHKと在京キー局5社が著作権を侵害されているとして、 サービス差し止めを求めて仮処分を申請したが、東京地裁は同年8月、請求を棄却。 同年12月の知財高裁も地裁の決定を支持して申し立てを棄却し、翌年1月、 最高裁への抗告は許可されないことが決定。テレビ局側の敗北に終わった。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1101/19/news076.html

東京地裁:「まねきTV」は適法、テレビ局側の請求棄却(08/06/20) ↓ 知財高裁:権利侵害していない、適法。テレビ局側の請求棄却(08/12/15) ↓ 最高裁判所:著作権侵害と判断、テレビ局側敗訴を破棄。高裁に差し戻し(11/1/18) ↓ 知財高裁:サービス差し止め、テレビ局の訴え認める【いまここ】(12/1/31)

http://matome.naver.jp/odai/2130019640049447801

仮処分は棄却され、本訴も知財高裁までは適法との判断だったのですが、 最高裁で突然違法(「自動公衆送信」に該当)となったようです。

理由としては、

送信相手が1対1に限定されるなど著作権的にセキュアな対策が取られている機器においても、 公衆回線の電気通信回線に接続されて、 外からユーザーのリクエストに応じてデータを出せばそれは自動公衆送信だし、 その装置も自動公衆送信装置である、

http://blog.livedoor.jp/nob_kodera/archives/3346423.html

つまり、個々人に向けての1対1の閉じられたサービス提供であっても それが不特定多数のユーザーが利用できる状態にあるサービス(会員登録は自由だからね) で展開している場合、「自動公衆送信」にあたるとの判例が出てしまったのです。

これで困る事例がいくつでも出てきます。

ざっくり字面だけを見ればそう言えないこともないかもしれないが、 その実態というか意味するところはものすごく広くなる。 ネットに繋がったパソコンやサーバはもちろんのこと、ルーターまでその範囲に入る可能性がある。 SeverManのようなアプリを入れればスマートフォンももちろん入る。 じつはものすごく広い定義というか、ネットに繋がっている機器ほぼ全部が自動公衆送信装置であることになる。

そして判決では、「送信可能化」というのは、 自動公衆送信するための準備をした段階を指すということになった。 つまり実際に送信するかどうかは関係なく、 送信できる準備をしただけで送信可能化権の侵害になり得るという。

そうなると困ることはいろいろ出てくる。 たとえば文章や音楽、あるいは書類でもなんでもいいが、 著作物制作の過程で業務として人の著作物をクラウドサービスにアップした段階で、 共有設定とかしてなくても、送信可能化権云々の話が出てくることになる。

http://blog.livedoor.jp/nob_kodera/archives/3346423.html

また、長年NHKに勤めていたジャーナリストの池田信夫さんはこうも言っている。

そもそもわからないのは、このサービスで誰が被害を受けるのかということだ。 まねきTVは不特定多数に対して放送するわけではなく、 ユーザーが自分の機材で自分で選んだ番組を見るだけなので、 家庭のDVDレコーダーで見るのと同じだ。

http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2010/12/post-266.php

著作権は、著作者の権利を守るために確かに必要であるのだが、 それによって経済の発展・生活の向上が阻害されてしまうようなら本末転倒だと思う。 そもそも法律自体が、世の中をより良い方向に進めていくための規範・方向を定めたもので。

まとめ

てか、技術を知らない文系の人がこれらの法律を行使するのはもう限界なんじゃないかな とも思ったり。 理系でも法律を学ぶべき!

これからは技術だけでも、技術を知らなくてもダメで

  • 技術×法律
  • 技術×デザイン
  • 技術×経営

なんてコトになってくるんじゃないかな、とも思います。

実際、グーグルではCEOのエリック・シュミットが 「経営を知っている人が技術を学ぶより、技術者が経営を学ぶ方が合理的」 なんて言ってた気がします。

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