- 読みやすさ ★★★★☆
- わかりやすさ ★★★★☆
- オススメ度 ★★★★☆
記者クラブ崩壊
前記事「ジャーナリズム崩壊」の続きのレビューです。
まずはコチラを見た方が頭に入りやすいかなと思います。
「記者クラブ」については前回少し触れましたが、もう一度詳しく話していこうと思います。
記者クラブとは
まず記者クラブとは、太平洋戦争後に、権力の監視役として各メディアの有志が結成した組織です。 当時は、戦時中の政府の言論統制に従ってしまったことの反省として、権力に対する監視・抑止力として健全に機能していたようです。
しかし、これが取材組織へと変化してから腐敗していきました。
どういうことかというと、各メディアが取材をしやすくするための組織へと変わることによって、仲間意識が生まれ、合理化・統一化が行われ、排他的になります。
日本の会見は、海外と違い記者クラブが主催をしています。 なので、参加には彼らの承諾を得る必要があるのです。 ここで、排他的な風潮が生まれました。
人は一度、そういった権利を手にしてしまうと、その既得権益を手放さないことに必死になります。 自分たちが情報の最前線で、他に先を越されることは許さない!という驕りもあったと思います。
例えば、記者クラブ内でも、 抜けがけでスクープを飛ばす記者に対して、次回からの参加を拒否したり、 官僚が答えに窮するような鋭い質問をすると、官僚の機嫌を損ね、クラブ全体で円滑な取材が行えないため、その質問者に対しても参加を拒否します。
また、「情報の最前線」を維持しようとする彼らが次に生み出した風潮として、記者同士の「情報のすりあわせ」があります。 会見後に皆で集まり、情報漏れがないか、この発言の意図はこういうことか、など話し合っています。 コレを筆者(上杉)は、「カンニングだ!」と批判していますが、僕も同感です。 同じ情報しか流れず、社説も独自性に欠けてしまい、国民に判断材料が与えられず、意見が誘導・統一されやすい、といった弊害も生みます。
何より、自分の情報・意見を他社に話したり、他社の情報をもらって満足してるなんて、どんだけ仕事の意識が低いんだ!自分を信じられないのか!と怒りたくなります。
また、このような排他性・機密性は、官僚側からしても非常にありがたいワケで、言論統制が容易に行えるため、癒着も起きているのではないかと疑ってしまいます。
記者クラブの弊害
加えて、本書で取り上げている大手メディアの悪行として、
- クレジットをつけない
- 責任回避
- 無記名
というのがあるそうです。
クレジットとは、引用元の記載のことなのですが、日本の新聞でよく見る「一部週刊誌」「~がわかった」という文面、コレは世界のジャーナリズムでは盗用とみなされるレベルらしいです。
一流メディアであるという自負だか、週刊誌をなめてるんだかわかりませんが、引用した際は情報元を明確にするべき!これは、素人の僕もそう思います。
また、記事の「無記名」ですが、日本では当たり前のように扱われてますが、コレは恐ろしい風潮だと思います。 他人を、実名で公に批判できてしまう記者が、自分の存在は明かさないのです。安全な場所から批判を加えるワケです。 自分に返ってこない分、記事に責任感を持つことなく発信できてしまいますよね(ーー;)
最後に、「責任回避」ですが、 過去に流した情報が誤報だと分かった時、「ほぼ」彼らは謝罪しません! 「実際は~だったことがわかった」で逃げたり、 挙句、情報元に対して批判を加えたりします。
国民に広く発信するからには、裏をしっかりとり、責任をもって発信しなければいけないハズです! これは、「無記名」の悪習も大いに関係あるでしょう!
批判ばっかりしました(^_^;)
「デタラメだろ!」 「上杉隆の言うこと鵜呑みにしてんじゃねぇよ!」 との意見も多分にあると思います。
が、 先日も書きましたが、無抵抗に受け入れるんではなく、一度疑ってみる姿勢も大切だと思います。