グーグル、アップルに負けない著作権法

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クラウドネットワーク全盛期の21世紀に適した著作権について考える本。 内容は全て本書を元にした私見です。

グーグル、アップルに負けない著作権法 (角川EPUB選書)

技術と著作権

著作権・法律は技術の進歩と密接に関わっていて、 著作権がなければ今のビジネスが成り立たない。

しかし、黒船のごとく来日したクラウドプロバイダーはそんなものはおかまいなしで、 逆に法律が翻弄されている。

著作権は誰のため?

本編を通して感じたことは、 とにかくユーザーエクスペリエンスを高める方向に動いているということ。 Appleの垂直統合・iTunesしかり、GoogleのPlay Storeしかり、Netflix・Huluもしかり。

プラットフォーム化

とにかくユーザーにとって使いやすくを追求していった結果、 シームレスに統合されていったほうがいいよね、ということでプラットフォーム化が進んだ。

その結果、著作権者であってもプラットフォームから取り残されると ユーザーに一切見てもらえないことになってしまうため、 みながプラットフォーム提供者に従うようになった。

コンテンツ

そもそもコンテンツ自体がユーザーに情報・エンターテインメントを提供するためのものであって、 CDや映画や書籍というのは提供する手段・媒体に過ぎない。

技術の進歩によって、よりサービス志向になり、目的に合うようになった。 (いわゆるSaaS・PaaSと呼ばれる形態)

著作権

コンテンツの著作権というのも、クオリティの高いコンテンツを消費者に 安定して提供できるような仕組みにするために存在する。

現行の著作権はネット(SaaS・グローバル)が出てくる前に作られたもので、それに追加するカタチで対応しようと思っても間に合わない。

著作権を安直に守っていくと、製作者の首を絞め、ユーザーの利便性を損ねることになりかねない。

特許

技術・特許を持ってるものが偉いのではなく、 それを以下に上手く統合してUXを高められるかが肝心だった。 Appleはそれがうまかった。

クラウドか端末か、手段はなんでもいいが要はどれが便利かというだけだ。

フェアユースの概念

フェアユースは、ケースバイケースでよろしくやりましょう。 都度検討しましょう、と言うもの。

事前に定義してしまうとすぐに現実とずれたり、本来の目的と違う適用がされかねないため、 アメリカなどでは一般的になっている。

「フェアユースを適用するととんでもない不利益を被るかもしれない」 という批判は筋違い。そもそもそういった極端に振れないように調整しようというのが趣旨。

コミケ

今のコミケもフェアユースのようなもの。

厳密に言うとアウトだけど、ユーザーの利益と権利者への影響を考えて黙認している。 逆に厳密に著作権を定義するとこういったことができなくなる。

適用範囲

さらに言えば、一言でコンテンツといっても、内容によって範囲を変えなければいけない。

音楽は何度も聞かれるため、一度くらいは無料でも聞かれたほうがいいかもしれない。 映画や本は一過性の性質が強いため、一度でも出回ると困る。

コンテンツはソーシャル化する。

コンテンツの本来の目的は楽しむこと。 どれだけ楽しまれているかがコンテンツの価値になる。

コミュニケーションのある場にコンテンツが生まれる。 むしろそこからコンテンツたりうる。 ソーシャルになることでムーブメントになる。

ニコニコ動画はコンテンツを公に改変してしまっている。 しかし、それが楽しい。 コンテンツがソーシャル化されると寿命が伸びる。 製作者にはリスペクトが。マルチコンテンツ化した場合には正当な対価が得られるエコシステム。

個人や小規模なところのコンテンツの場合、 広く知られるには分業・二次創作してもらわないと。 そうしないとコンテンツが失われてしまうこともある。

タダで流通することへの抵抗はあるけども、 コンテンツに対価を払わない文化はないので、やり方の問題。 今のITビジネスのように、後で回収できるのでは?

本の価値は情報

本は初めから最後まで読むのはめんどくさい。 要点だけつかめれば十分。全ての人に同じように読書させるのは効率が悪い。

著作権はネットに特化するべき。 全ての権利者に話をつけるのは無理なのでパッケージ化を。 権利を主張するには連絡をすることで対応するなど(現行のGoogleなどと同じ。)

本の自炊というのはシステムが整っていないせい。本来はすべきでない行為。

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