福島第一原発収束作業日記

| Comments

現場作業員から見た原発。顔出しはしていないけどある種一番信頼できるソースであると思う。

定期的に思い出すために読んでみる。

福島第一原発収束作業日記: 3.11からの700日間

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1) (モーニング KC)

原発の実態

最先端とかクリーンとかでなく、普通の建築よりレベルが低かったりする。 あちこちつぎはぎだったり図面が合わなかったり。

だって規模がでかくて把握しきれないし、色んな利権が絡みあってるだろうし、 20年も昔の技術だったりするので仕方ないかも。

それで安全神話を語っても説得力ないよね。

現場の作業員

責任感のある人が多い。

たとえ東電が逃げ出そうが、散々儲けといて失敗しようが、それらは過去のこと。 そんなことより、早く元に戻さなきゃという使命感で頑張っている方が多い。

建設関係から来た人は教育不足なのか色々と危ないことしてるみたい。

東電

責任感・計画性のなさ。

対象的に東電は場当たり的な対応をしている。 営利企業なので当たり前かもしれないが、「消費者のため」「事故の収束が第一」というのとは明らかにずれている印象。 また、判断がコロコロ変わり、軸が定まっていないので現場のモチベーションも上がりにくい。

現場が「その予定じゃ無理だろ」って思ってるのにできるわけがない。 ロードマップを示して士気を高めるのが本来の仕事だと思うけど。

政府

政府も同様。

簡単に工程表や見積もりが出せるような規模じゃない。既に「想定外」になったばかりだし。 それなのに東電に任せっぱなしなことは問題。

その割に外から「9ヶ月で安定にしろ」「アンダー・コントロールしている」とか、無茶を言ってくれるな。

なぜまっとうに対応しないのか

自分がいる間は逃げ切れると思っているから。 あるいは長期の責任は担ってないと考えているから。

2008年のリーマン・ショックと同じような感じ。メリットは享受すれど、大きすぎて責任を取りきれないレベルのことを国あるいは東電に任せてしまっている。

個人で見てもそうだし、政府全体としても、頻繁に政権交代させている政権が、30年以上先の未来に責任が持てるわけがない。官僚は表に出てこないから自浄作用が働きにくい。

責任を後に押し付けて逃げ切ることができる仕組みでは持たないと思うが、 そこを責任追及するのは難しいので、為政者の倫理感・国民の民度を上げるしかないと思っている。 (そしてそれは事実上無理なほど難しい。)

なぜメディアが糾弾しないのか

本来であれば、こういった事態が起きうるという警鐘を鳴らす、権力を監視する、 国民に情報を与え民度を上げる・啓発する役割を担うべきがメディアなのだが、 そのメディアが営利企業であるため、広告主である大広告主である東電や政府に強く言えない。

(情報源だから媚びる、というのもよく聞くが、それが成立するなら権力の監視が原理上不可能になってしまうので取り上げない。)

メディアが自分の組織の存続を掲げると、ジャーナリズムが機能しにくい。

国民としてどう振る舞うべきか

他者に依存しすぎない

特に経済・健康などのクリティカルな分野において、判断を他者に委ねると身動きが取れなくなる。

例)

  • 今の会社から給料をもらい続ける前提で考えると、会社が潰れた時、異動などへ不満を抱いた時に身動きがとれなくなる。
  • 基幹システムなどの管理を他社に委ねると、向こうの言い値でボッタくられても変更できなくなる。
  • 原発に依存するから、「安全です」を信じこまないと精神を保っていられない。

そして、少なくともこれまでの「想定外」や「現場と報道のズレ」を耳にしていると、とても信用できない。 偉い人たちといえど、最適解を出すのは無理なようだ。

そのために個別に集合知を取り入れる

他者に依存しないということは、裏を返せば自分で考えて対処しなくてはいけない。それはかなり辛い。

集合知を取り込めるシステムを。 既存のものを書き換えるのはコスパに合わない。 一部の人で勝手にコミュニティを形成すればいい。 そして既存の仕組みを外部からぶち壊せばいい。 貨幣も警察も司法もない組織を作って拡大できれば。

働き方を変える。 情報の流通を変える。 貨幣を評価に置き換える。 著作権を共有の財産にする。 これらを順番に取り込んで行ければ。

他人に期待しない。共有できたものを享受し合う仕組み。

個人の利害が絡むと無駄に複雑になる。もっとシンプルに。 少人数でも良いから始める。 良さに気づいた人たちが参加して行く。そんな世の中にしたい。 物理的に離れててもコミュニティは作れる。

メディアとして何を為すべきか

意識改革は言葉では伝わらない

そもそも、現状への警鐘を求めてる人がいるのかという話。 情報を与えて「さぁ判断しろ」と言われても、そんなの判断できない。

かといってこちらから押し付けるのであれば今までと変わらない。

大半の人は、真実が知りたいんじゃなくてハッピーでいたいだけ。気にしなくていい情報なら真実だろうがなんだろうが知ったこっちゃない。無理に押し付けるのは無理だろう。

雇用主、国、司法や警察に期待するのは楽だけど期待に沿わない時にイライラする。

天下りはけしからん、とか言っても無駄。厳密にチェックされてたら嬉しいけど、自分がそれを手伝うつもりはないだろうし、逐一知らせてくれなくてもいい。

税金がうまく活用されるかを、チェックする機構(自らコストを負担してでも)を求めてる人がどれだけいるのか?

身の丈にあったメディアを

それより自己責任で期待しないのが楽。 手伝ってくれたらラッキーくらいの認識がちょうどいい。

判断できないなら、始めから危険なとこには近づかない。信頼できるもののみ使う。

判断できそうであれば、複数の選択肢から自分の納得の行くように判断する。

新聞社にでも入ろうかなとか思ってたけど無理だ。別の道を探そう。 ネットメディアは取材力・文章力が、、なんて言われるけどそんな能力は関係なくて、 自分の必要な情報を取ってきて仲間と共有できればいい。

要は既存の仕組みに依存せず、少人数でも正しく楽しく活動して、少しずつ規模を拡大していく(最終的にマジョリティにする)のが一番。

Comments