マネー・ボール

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マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男

ブラッド・ピット主演で有名な映画の原作です。

ストーリー

お金もない弱小球団を、主人公のビリーが改革していって強くする話です。お金がないので、人気の選手を集めることが出来ない。そのため、データを駆使して、埋もれている才能を掘り起こして安く使い、効率よく勝ち星をあげようといった作戦に出ます。

野球選手

話は、ビリーがプロ野球選手になるところから始まります。 当時圧倒的な才能と実績を引っさげて、鳴り物入りでデビューしたビリーでしたが、これまで苦労や挫折を味わったことがない分打たれ弱く、ふとしたきっかけからドンドン調子を崩してしまいます。 バッターボックスに立っても、以前のミスが思い返され、恥をかきたくないと緊張して空回り。その後ベンチで暴れ回り、またふて腐れるといったような。

彼ほどの才能を持っていても成果を上げることは難しいようです。対照的にメンタルが非常にタフで努力を怠らない同僚がドンドン活躍していくのを見て、ビリーは野球選手に向いていなかったことを悟り、球団の運営側(ゼネラルマネジャー)へ転向します。

挫折の経験があるかどうかがいかに大きいか。精神状態によって実力はこれほど変わるのかを感じました。なまじ肉体的な才能に恵まれすぎていたために挫折を知らないヒーローの末路でした。才能とは、わかりやすく表れるようなものだけでなく、どれだけ実力を発揮できるか、努力できるかの方が大切かもしれません。

球団経営

次に球団経営について。 大元(オーナー)が球団を運営する理由は、企業のPRのためと、お客さんにお金を多く落としてもらうことが目的です。そのために、どのチームも熱心なファンを増やすことに尽力します。

では、どうすればファンが増えるのか?人気選手をいれる事?突飛な戦術を次々と実行すること?

答えは勝つ事です。 勝てば無名の選手でも人気者になり、普通の戦術でも評価されます。逆に、人気選手ばかり集めても勝てなければ人気がなくなるし、面白い戦術もバッシングを受けます。

そのため、ビリーは今までの業界の考え方を捨て、独自の基準で選手を評価し、限られた予算の中で最大の勝ち星を上げるべくデータを駆使します。その結果、バント・盗塁しない、長打より四球でもいいから出塁。といった先述を打ち出してチームを勝利に導いていきます。

なぜビリーは新しい基準を取り入れることが出来たかというと、過去の失敗が大きかったように思います。自分が正しいとは限らないこと。自分と違う価値観を取り入れること。 初めは疑いが強かった球団内でも、実際にビリーに従っていくとたしかに勝ち星が増え成果が出て行ったので、ビリーの考えを認めるようになります。そして、チームはプレーオフに駒を進めるほどになりました。

ところが、あとがきでありましたが、ものすごい大成功を収めたにも関わらず実際にビリーはものすごい勢いで業界からバッシングされたらしいです。 プレーオフで(たまたま)負けてしまったから、「ビリーのやり方はやはり間違っている」との声が高まりました。

結果だけ見るとビリーが正しいのですが(試合数的にシーズンの結果が妥当。プレーオフは運の要素が強すぎた)、業界の大多数は自分たちのこれまでの考えが否定されてしまうので必死で抵抗します。 そして、その意見が大多数だとそれが主流になってしまいます。過去の成功や、自信のプライドが人を縛り付けてしまうようです。

こういった旧態依然とした価値観の人たちには、データを尽くして口でいくら論理的に説明しても納得しないようで、ビリーが球団内でやったように、実際に成果を上げて見せつけてやるしかないようです。(今回で言うと、プレーオフで勝つまで)

まとめ

さて、本を読めばわかりますが、旧式の考えの人たちの頭の固さへの苛立ちがすごいです。データを見せられても納得しないこれら野球業界の体質を馬鹿げた事と憤ると思います。

野球界に限らず、旧式の考えのおっさんが多く居ますが、しかし翻って僕らはどうでしょうか?僕らも人のことを言えるでしょうか? たとえば、結婚は素晴らしいものだとか、人生顔じゃないとか、宗教は全てアブナイとか、何の根拠もなく思い込んでませんか? それを否定するデータはイロイロあったりしますが、たぶん多くの人は反発するでしょうし、それが間違ったこととも思いません。

論理的に説明されても納得出来ないことは多くあるわけで、それをどう伝えていくかが今後の課題です。

南極点のピアピア動画

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南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)

尻Pこと野尻さんの本業らしいです。なんか、ハンターハンターの富樫なみに仕事しないとかなんとか^^; このピアピア動画というのの元はニコニコ動画で、ニコ厨が妄想する「こんな世界になるといいな」というSF本です。

Summary

ただの小説でしたが、おっさん世代までネットが浸透した世界で、登場人物みんな善人のお話です。みんなが考えていったら楽しそうだなと。

合理性とかお金のためとか、そういった損得でなくて感覚のままに楽しい方向へ動いている感じと、ネットを駆使した民主主義の世界。

動画サイトには投げ銭機能がついていて、ユーザーが応援したい人に寄付できる。また、サイトで応援を呼びかけたら何人も「楽しそうだから」という理由で、無償で手伝ってくれる。未知の宇宙人が、かなりインターネットと親和性が高くて協力的である。

なんで現実はこうなってないのか?

なかなか夢のある話で楽しめましたが、あえて逆の視点から考えてみます。

単純に、性善説に依りすぎだと思うからです。

  • ネットで声を掛けると信頼性が不安人は集まるだろう。が、信頼が問題です。権限を与えるということは責任が生じることです。ディスコミュニケーションも増えるかも。

  • プライバシーの観念も人によって異なるから、楽しければいいじゃないなんて一概に言えない。その共通解を出すのは非常に難しい。

  • 動画サイトも、完全に放置してしまうとアンチが騒いで治安が悪くなるんだろうし、手を加えすぎると自由さが失われてしまう。 ・投げ銭機能も、それによって批判される人が増えたり、上手いこと換金するシステムができて運営にお金が回らなくなってサービス自体なくなったりする可能性もあって。

でも、希望もあって、 ハードウェアもオープンソース化できたら人間が神に近づける。事故増殖する機械(もはや生物)を生み出せる。

  • お金儲け、徹底した合理的思考は体系化できてしまうので、いずれ機械に変わられるかも。
  • 役に立たないこと、無駄なことに対して全力で取り組めば人間は幸せになれるかも。
  • お金でなくてたのしさが一番の時代になればハッピーになれるのでは。

人間は元来、非論理的な生き物だと思い直した作品でした。

レイヤー化する世界

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レイヤー化する世界

コスプレイヤーじゃないです。レイヤー(層)です。

近年の情報革命がもたらした様々な変化について、歴史から学んでいこうという本です。考え方を転換するためには非常に有効な本だと思います。

初期、イスラエルやトルコ付近で栄えたのは『帝国』です。 過去帝国は

  • 多民族国家だった
  • 帝国同士のネットワークがあった

の特徴がありました。

その頃の繋がり方は、 例えばローマ帝国なら共通の言葉でつながっていた。 他の帝国も似たようなもので、主に宗教でつながっていた。

その後、産業革命などで民族・身分の関係が複雑になり、大きすぎる組織は維持できなくなり、単一民族国家が生まれた。

また、権力構造の転換も起きた。協会が財政難に陥り、組織としても腐ってきたころ、免罪符というものが生み出され、それに対して憤ったルターが聖書を印刷して布教し直した。初期の印刷事業である。(この時点でメディアの影響力の大きさを感じます。)

大きな組織・国家が権力を持つのではなく、主権を国民に依ることで安定させた。しかしそこには誰にも頼れない責任がある。神にも王にも頼らずに自分たちで社会を良くしていく自由と責任が。そこから国民全体が力を蓄える方向に舵を切る。ソトに目を向けることで意思の統一とやる気を誘発した。

単一民族国家は、民族でウチとソトを分ける。ウチは味方。外は敵。ウチの幸福を最大化していくことが国の役割であった。 ここでは、国の外に敵を作ることで団結するため、国民国家は争いが耐えませんでした。そこで、欧州以外に目を向け、植民地などを開拓し始めました。

ところが、近年の情報革命は資本や仕事をソトへもっていくシステムになっている。相反する 『インターネットは働き口を増やさない。』 仕組み自体は少数で作り上げ、機械化するより効率のいいくらいの労働力に投げる。途上国の仕事は増える

構造が変わり、内外の概念がなくなり、代わりに場(テクノロジーのプラットフォーム)ができた。 場のコントロールが鍵になる データを集めて公開すれば、自然と輪が広がる。すべてを管理する必要はない

今後も、ウチの労働量は減る。機械化や途上国からの登用で。その場合にもう国民国家という括りは古い仕組みになってくる。 そもそも国民国家に合理性はない。後述しますが、場や仕組みに国籍はいらない。今後はグローバル企業が中心の世の中になると思われます。つまりは社会で合意が取れていればそれが正しい価値観となる、といえるでしょうか。

言ってみれば、だんだんと富が分配されてきている、権利が増えている(義務も増える)ように仕組みが変化していっていると考えられます。

そんな社会に求められることとして、

場と消費者の共犯関係

→お互いに相手を利用し出し抜こうとしあう。消費者は場をうまく利用して新しいことを始める。場はその情報を集めてさらに場を良い物にしていく。

様々なレイヤーを敷く。基本的なインフラとして。

→みなが利用できるような場を複数設けることで、生活が便利になり、セーフティネットが生まれる。その上で各々が動く。好きなところで社会に貢献する。

感想は帰ってから書きます。。。

社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!

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社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!

よく、「ジャーナリスト目指すなら旅行とか行かないの?」と言われますが、目的が情報収集だけなら、旅行はコスパが悪いと思います。

こういう本なら2時間くらいで読めるし、余計な感情が入らない分だけ客観的な気もします。 出版されてるくらいだから内容もわりと正しいだろうし、他の知識も合わせて判断する方が真実に近づける。 出掛けた先で見たものだけで判断するなんて博打はちょっとできないです。あくまで選択肢の一つというかんじでしょうか。

ぁ、娯楽としての旅行は好きですよ。まぁ他にもしたいことはたくさんあるし時間取られまくるから優先度は低いんですが。。

個人的備忘録

  • リプトンのティーバッグのお茶の方が高級だという国もある。ブランド、信用の置きどころが違う。

  • お金を従業員に触らせない国がある。南米あたり 現金に対する意識が違う。社員も信用していない。治安がよく、労働者のモラルが高い日本は恵まれてる。

  • 現地通貨ではなく、日本円を求められる国もある。 自国通貨を信頼できる国は珍しい。日本円は強いことを実感。

  • お札に載る人物から様々な思惑が推測される。 その国の歴史感が詰まっている。ちなみに日本は学者さんばかりですね。

  • 移民はもうグローバルスタンダード。 日本も将来、海外の人をメイドに雇うのでは?

  • アフリカの厳しい自然をみたあとに僕らにできることは。 向こうでは自然に人間が従う。観光地として栄えるより、自然を乱さないことが優先。

  • 共産主義の国だったソ連 みんな努力せず、社会の仕組みとして崩壊していた。アメリカと争えるような状態じゃなかった。過去の共産党全盛期の中国もそうだけど、成果が反映されないと人は怠けるらしい。(それとも民族の価値観の問題?)

  • 闇の恐怖。闇は無法地帯を意味する。どんな所業も見られなければ問題ないから。 電気の発明はものすごく大きい。治安的にも電気のインフラ的にも、日本は安心できる。

  • リゾート地は、その時の金持ちを追いかける必要がある。 過去は日本。今や中国や韓国がメインになりつつある。

  • 歴史の遺物は誰の所有物か? 過去の同族の行いに対してどこまで責任を負うのか?

  • 観光という資源は先進国が多く所有している。 文化的に発展しているから当然とも言える。過去の文明の残したものが多くある。

  • イタリアとか環境に恵まれたところより北欧やドイツが栄えている。環境的に厳しい方がより努力するからか? 生きていくのに困らなければ努力しなくなる。 日本やシンガポールも、急成長したのは戦後に背水の陣になったから?(日本→爆撃でめちゃくちゃ。シンガポール→資源も土地も人もない)

  • 動機付けの仕組み(システム)が変われば行動は変わる。共産主義やシンガポールから。

  • 格差が本当に普及していれば、疑問を感じなくなる。 日本において格差を感じるのは、それが当たり前でないから。

  • 施しがないことへの侮蔑。価値観が違う。 インドなどでは、国は富の再分配を請け負わない。寄付の文化がある。国から人か、人から人かの違い。

  • 水の扱いにみる日本の豊かさ

  • 日本とは価値観が違うことを意識する。相手の価値観を鑑みてコミュニケーションを。

  • 近年は海外旅行の在り方が変わった。希少価値もないし、特別な経験も。 日本が豊かで楽しいから海外へいかない、それは良いことだと感じる。

視野を広くもてば現状を楽しめるんじゃないか

日本で受動的に受け取る情報なんて、大体は有名な人の情報だったりします。それも希望があっていいのですが、おかげで現状の地味さを楽しめなくなるような気がします。 ただ、一歩海外に出れば、日本が恵まれてたことがわかった、というのはよく聞く話です。 別に考えが甘いとか、一カ国くらいで偉そうに、なんて言うつもりはなくて、自分がそう感じて日常のありがたさに気づけたらそれで十分だと思うのですよ。 以前、ダークツーリズムの話もしましたが、旅行先で楽しんでもいいし、厳しさを味わって日本の日常を楽しめるようになってもいいし、価値観が動かされるのは面白いもんだと思います。

国内においてでも、グローバル化の流れを受けて色んな価値観が出てきているので、自分の考えや常識が必ずしも正しくないことを自覚しておくのも大事かなと。

(曲は本文に関係ありません。ただの好みです。) <iframe width=”350” height=”250” src=”//www.youtube.com/embed/LOtO_TxQ6iM” frameborder=”0” allowfullscreen></iframe>

日本の10大新宗教

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日本の10大新宗教 (幻冬舎新書)

なんでこんなの読んでんだよってカンジですが、理由としては公明党の母体を知ってみたかったというのと、今後はモノでなく心の豊かさを求めることが多くなるだろうということで、 自分の中で宗教に寛容になるべき、そのためには知らないといけないと考えたからです。

宗教についての私見

思考停止して全て信仰したり、排他的・暴力的にならない限りは悪くないんじゃないかとは思ってます。 そもそも日本も、無宗教と言いつつ生まれながらなにかしら拠り所があるわけで、お天道様が見てるとかもそれだし、八百万の神もそれです。 基本的には、人は生まれた時からどこかしらの宗派(価値観)に属しているもので、日本人は、仏教と神道を取り入れてたため、見かけ上無宗教になってるにすぎないと、本文でも述べられています。

自己弁護のためもう一つ。カルトと宗教の違いも書かれてましたが、信心を悪用するかどうかという曖昧なもので決まるようです。 『悪用』の定義が難しいのですが、まぁ一般的な尺度で考えるしかないかと。外部に価値観を押しつけたりしなければ別に構わないのかもしれません。

Summary

天理教

近代天皇制との齟齬による迫害 搾取が問題に。『貧に落ちきれ』の精神。

大本

王仁三郎の常識を超えた言動 社会的に高い評価を受けている 先陣切って権力に抵抗している

生長の家

信者が100万人くらいいる。 海外の信者が多い。数百万規模。 大本からの派生。 主に雑誌で不況

天照皇大神宮教

踊る宗教。カリスマ

立正佼成会

法華信仰 保守的で寛容。読売事件の際に新聞からのバッシングを、自分たちへの戒めと受け取り、自省していた様子。

創価学会

折伏と呼ばれる積極的な布教 三代目池田大作の時に政治へも広げた。が、言論規制を企んだことが非難を浴び、政教分離を余儀なくされた。 排他的、暴力的、勝ち負け主義。

世界救世教

光、手かざしで救う。 後継者争いで分割。

PL教団

アートなどに深い理解。 『人生は芸術である』 学校や博物館運営にも力を入れる。

真如苑

信者100万人弱 信仰が日常、世直しなど大義名分はない。安定だが普通

GLA

God Light Association 全うで批判的でない。普通。

その他の内容。

時代によっては迫害されたりする。

これはよく言われることですが、わりと宗教団体は一本筋が通ってるのに、その時々の世論で非難されるようですね。

カリスマ

一般に神がかりやカリスマ教祖には女性が多く、組織作りや運営・布教は男性の場合が多いみたい。 長期的に残ってくにはやっぱり男性的な組織の方がよさそうな。カリスマだと跡継ぎ争いが泥沼化するから。

たいていはメディアを有効に使う。

創価学会は会費などなく、新聞と会報でやりくりしている。他組織も、独自のネットワークやメディアを運営して輪を広げている。

全国の私立の1/3が宗教団体が運営

これは驚きました。が、よく考えてみるとたしかにそうかも。そもそも教育こそが大事なわけなので。仮に全ての宗教団体がなかったら、今のように教育を受けられていないかもしれませんね。

イロイロありましたが、全ての信者を合わせると、ざっと2000~3000万人くらいはいそうな気がします。もはやマイノリティじゃない規模なので、単純に忌避するのも考えものだなと。

オマケ: こういう記事と合わせて曲載せると、変な先入観がついちゃうかも。。。 <iframe width=”350” height=”250” src=”//www.youtube.com/embed/Ar-lK0r8hY0” frameborder=”0” allowfullscreen></iframe>

銃・病原菌・鉄 (上)

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文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)

久しぶりのブックレビューです。

人類の繁栄と淘汰は種族によるものか、環境(地域差)によるものか? 言い換えると、なぜヨーロッパは世界を支配できたのか? この問題に対しての研究の論文、というカタチです。

結論

個々の研究とその結論の話は省略して結論だけ言うと、その種族の身体能力・頭の良さよりも、置かれていた環境のほうが重要であったということ。(ただし、病原菌に関しては少し例外で、たまたまその抗体を持っていた種族が生き延びていますが。)

例えば、話の冒頭に出てくるニューギニアの部族の長は、とても聡明で運動能力にも長けていますが、我々日本人と比べれば、貧しいし、知識量も少ないし、今も先進国から搾取されています。

良い環境に身を置け

さて、この本から何を得るべきかというと、「とにかく良い環境に身を置け!」ということに尽きるのではないかと思います。

いくら狩猟民族が身体能力に優れていようが、農耕民族のように安定して生活出来て人口が増え、武器などを作る時間がある方が強くなります。(人がどれだけ鍛えても銃や車には勝てないでしょう。)

いくら天才的な頭脳を持っていようが、新しく吸収する知識が無かったり、全て自分で生み出しつつ生きるより、過去積み重ねられてきた叡智を活かせば、普通の頭脳の人でも効率よく賢くなれます。(なんなら、ググればどんな天才よりも博識になれますし。)

先天的な能力に恵まれなかったとしても、環境をうまく利用することで克服できます。知性とは、地頭×情報の質×量だと思うので、地頭が悪くても他で克服できます。

要は条件を変えていけばいい。過去の叡智・インフラなどの環境・仲間、これらを上手く活用することで、誰でも何にでもなれるんじゃないかと思います。

(個人的には、

  • 過去の叡智・・・本・学問
  • インフラ環境・・・インターネット
  • 仲間・・・職場の同僚

あたりだと思って活用しています。生まれ持った能力が乏しいので、そこで克服します。)

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド

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チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1

日付が変わりそうですが、今日は8月15日、終戦記念日でした。 広島と長崎に原爆が落とされてようやく終わったアレです。原爆ドームは今なお立ってて、修学旅行とかで行きますよね。

ちなみに、「あの原爆があって良かったんじゃないか」と言う人もいて、理由は、あれのおかげで負けを認めることが出来た、もし続いてたら自国も他国も、もっと多くの人が死んでたかも、というものです。 歴史にタラレバはありませんが、こんなシンプルなものでも、絶対的に悪とは言い切れないものです。。。

Summary

悪名高き「チェルノブイリ原発事故」から25年以上経った今の現地はどのようになっているか、そこから、フクシマをこれからどうすればいいか考えようじゃないか、というのが論旨です。 序文にあった、「欲望と悲劇の交差点にようこそ」という一文が好きです。

ダークツーリズムとは

悲しみの継承。過去の悲劇に触れることで、過ちを繰り返さないようにと反省・学びを得るもの。被災地への支援という意味も併せ持つことが多い。

発信者としては、チェルノブイリ事件は全ての人が知っておくべき事件だと考えていると思います。が、普通はそんなネガティブなものを観光に来てまで見たくありません。 人に来てもらうには、発信者視点でなく受け手視点で考える必要があります。

この取材の中では、そういったところまで考えている現地の方のお話がたくさん掲載されています。 例えば現地の博物館。 展示というとドキュメンタリーな生生しいものが多いと思いきや、70%くらいは哲学的なアートになってるらしいです。そこで、ザワザワと心が動かされる感じ、理屈でなく感覚で味わう感じ、を狙っていて、実際にデートで訪れたりリピーターも多いそうです。

また、観光客の態度に対しても柔軟です。ウクライナ発のFPSゲーム「S.T.A.L.K.E.R. 」が大ヒットし、聖地巡礼のカンジで来る人が増えたようですが、現地民は、なにより風化することが怖いらしく、「ゲームでもなんでも、関心をもってもらえたら十分」という認識が一般的なようです。作業員も、「俺らの有志を見てくれ」くらいなカンジらしいです。 ちなみに、事故直後は「事件のことは忘れたい」派が多かったが、だんだんと「後世に残すべき」派が増えていったらしいです。これは今のフクシマにも同じことが言えるのではないでしょうか。

感想

この悲惨さを知ってほしい。けれど、「知らせなければ」「啓蒙しなければ」と押し付けになってしまうのではなく、一人一人にもっと関心を持ってもらいたい。そのためには、理性だけでなく感情に訴える必要がある。

これはどの情報発信においても同様だと思っていて、しょせん人間は感情がメインで理性はその後付けだったり手段に過ぎないので、どう心に届けられるか、というのが情報の発信者の務めであると考えます。

ネガティブな非日常に触れることで、普段行きているこの日常がどれほど良いものなのか、見つめなおすことができると思います。楽しむために行くのではなく、日常を楽しめると思えば、案外悪くないのかもしれません。

オマケ

ただし、ウクライナは今だに電力の半分を原子力発電でまかなっており、即時廃止を求める声は多くないようでした。感情に訴える部分はどうしても主観的になりがちなので、そこのバランスは非常に難しいところです。

新・あのヒット商品のナマ企画書が見たい!

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新・あのヒット商品のナマ企画書が見たい!

最近、本のレビューが書けていませんね。。。 いや、本とかメルマガとか自体は腐るほど読んでるんだけど、技術書だったり単発が多いので載せづらいのですよ。おまけに、じっくり考える時間がなかなかとれてなくて。 今日から再開します!

Summary

具体例やパワポなどが多く載っていて、非常に為になるいい本でした。製品企画とかに配属されたりする人は読んどくといいかもしれません。

まずもって、企画とは「社会を良くするためのプラン・視点」を与えることだと思います。実際の製品とかはそれを実現するツールに過ぎません。

基本的に人は絶対値でなく相対値(変化率)で判断する生き物なので、モノの見方を変えることは、違う変化率を持たせることになります。これがしっかりできてるのが「売れる」製品だと思います。

で、良い企画を考えて実現するために必要なことは以下。

準備段階

とにかくインプットの量を増やす。一見結びつかないようなことを繋げることで発明は生まれるので、とにかく広い知識を蓄えておく。人と同じ知識だけでは、そもそも新しいことを思いつくはずがありません。業界内外問わず得ることが理想です。

発想段階

まずは目的を明確にすること、どこにゴールを設定するか。これがないと、発想のタネがないし、何か思いついても判断する指標がないから。 その上でアイデアを、理屈で組み立てていく人もいれば、パッと思いつく人もいます。準備をどれだけしたかで決まります。

説明段階

アイデアができたら、それと目的を照らしあわせて、他人に論理的に説明できなければいけません。そうしないと、社内で採用されないどころか、製品のユーザーも、何が良いのかよくわからなくなるので。 ここはアイデア関係なく、自分の考えにどれだけ自信をもって語れるかが勝負の理性の世界です。

まず社内に対しては、 会社にもよりますが、要点を絞ってわかりやすく伝えられないと「よくわからん」で終わります。あなたの企画に頭を割く時間など限られてるので。 そして、企画者としてはアイデアを売り込みたいところですが、会社が知りたいのは、「これで何が実現できるのか」「どのくらい儲かりそうか」という結果に関心がある場合がほとんどです。ここを履き違えるとただのアイデア自慢だけで終わります。客観的なデータなどを用いたり、個人の熱意で説得することが重要です。

次に社外に対しては、 とにかくわかりやすくシンプルにが大事です。ユーザーにとっては新製品を検討する時間などほとんどないからです。ブランドも有効で、考える時間がないので、過去の実績から即座に判断をします。 また、これは個人的な考えですが、その商品を使う「言い訳」があると、売れやすくなると考えています。パズドラなども、「これは頭使うゲームだから」などと考えさせることで利用者を増やしてると思ってます。

まとめ

企画の目的は良いものを作ることではなく、それによって会社が・社会がどう良くなるのかという視点が必要。 相手の状況を考えて、一番理解されやすい方法でアプローチする。

オマケ

オススメの記事。読書は関係なくて、価値をどう生み出すのかという話。 繰り返しだけど、スペック自体が価値なんじゃなくて、それによって社会がこう変わる、というのが価値だったりします。

ネット時代に、なぜ「読書」が大事なのか? http://toyokeizai.net/articles/-/17311

曲も同じかと。これからのシングル曲の売り方はストーリーと関連させることじゃないかと。アルバムはコアファン向けのコレクターグッズですね。

麻生さんのナチス発言について

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今週、あちこちで騒がれていた件について、個人的にまとめます。(なお、僕はどちらかというと麻生さん好きなので、その分を引いて考えてみてください。)

以下に、発言の詳細とポイントが例示されています。

麻生太郎のナチス発言を国語の受験問題的に分析してみる http://nabeteru.seesaa.net/article/370956778.html

この中で触れているように、 冷静な民主主義=理性的判断・個々での判断 熱狂の民主主義=感情的判断・集団の判断 という分け方がされていると思います。

重要なのは、どちらも既存の枠組みの範囲内(民主主義)で行われているものであり、ナチス政権も、言ってみれば合法的に決まったものであるという認識で良いと思います。

コメントでも争点の中心になるのが、最後の発言

憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。 12 わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。

これは事前の知識として、麻生さんがナチス容認派と思ってるか否認派と思ってるかで解釈が分かれちゃうところが問題なのですが、僕はナチス否認派だと思っています。

その上で読むと、

(喧騒に紛れて)憲法が変わってしまった。(当時は集団の判断で)みんな納得して憲法が変わった。

ということが問題で、 > あの手口(狂乱に呑まれると理性的な判断ができず失敗してしまうことを)学んだらどうか。

と言っているように感じます。 あくまで講演として国民に話しているので、「学んだらどうか」の主語は政府でなく国民(≒マスコミ)だと思うのですよ。

ナチス政権の時は、既存のルールに則ってあんな事態になったので、憲法の改正という仕組みの話よりも、それを運用するのが誰であるか、を冷静に評価することこそが大事だと言っていると思います。

この一件がマスコミ含めて異常に騒がれたことといい、この間の参院選のマニフェストの衰退といい、政治に冷静な判断ができない国になってきてる印象を受けます。

言論NPO参院選2013 マニフェスト評価 http://www.genron-npo.net/media/2013/07/post-139.html

素直な心になるために

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素直な心になるために (PHP文庫)

  • 素直な心とは、一つのことにとらわれずくもりのない目でありのままを見ること。
  • 叱られること、正直に伝えること、素直であること、これらがさらなる素直を導く。 →素直さとは一生未完成のもの。追い求めるその姿勢が素直さ。

  • 人間は相互に与えて生きていくもの。社会的なもの。その上での自由は他者を含めてのもの。 →今の暮らしも他人に支えられているという事実を忘れてはいけない。

  • 適材適所 →ものごとを正しく捉える。全てのモノ* コトには適切な配置がある。無駄なものなど存在しない。

  • あらゆる物質、立場、属性は全て枝葉(要素)にすぎない。 →本質は僕らがそれらをどう捉えるかにある。

  • 日々の自己参照 一日の意味。 →日々の行動を振り返ること、自己参照なしに素直さを追求することはできない。

  • 私心に囚われない。ただし持つこと自体は自然。 →私心を取り除くことは出来ない。私心はある種、邪な心だけど、それも素直に受け止めること。

  • ありのままを捉える努力* 意識。 →偏見などといった色メガネは完全には取り外せないので、せめて色を認識してみる。それが適切な行動へ繋がる。独善でない全体最適を目指せる。

  • 細かな手段ではない。目的がどこにあるのか考える。 →ウソをつくことは構わない、理由が利他的であれば。私心のための嘘は心が貧しくなる。

  • 何事にも耳を傾け謙虚に。 →自信がないとは違う。常にアップデートされていく。自信満々に人の意見を聞く。

個人的にイメージするのは小川のせせらぎですかね。 常に穏やかで融通無碍で周りの草花に活力を与え、澄んでいる。

さすがに全て行動に現すと浮世離れしてしまう世の中なので、ほどほどに。理想と行動のバランスというか。 なぜほどほどにしないといけないかというと、こういった意識(倫理・道徳)が共有されてないからです。すると、価値観などよりも損得という絶対的な指標に走ります。アメリカは多民族国家だからこそ、ここまで資本主義が浸透しているのでしょう。つまりは共有したものがあれば社会主義でも上手く回ると思います。

さて、某所では、自称優秀な人達があつまってるせいか、たまにぶつかり合います。議論とかにしても、なまじ地位や学を上げると、どうも自分の考えに固執しがちです。 前述のとおり、素直な心とは自分の正しさを証明することではありません。自分の至らなさを認識してそれの改善に務めることです。

自分の至らなさを積極的に探し改善すること、それに注力することが肝要かと思います。